「あんだって果汁三十パーセントと百パーセントで、百パーセントのほうが安いんだよ……? なんつーか、安心して手ぇ出せないじゃないか」

真乃が、姉貴に代わってに出るようになってから、僕はリンゴジュースが尽きないように注意していた。

別に、彼女がそうしろって言ったわけじゃない。

ただなんとなく……僕にとって、リンゴジュースを買っていくのは、真乃がなんにも問題を起こさないでほしいと思ってのことだ。

ある意味、おまじないのようなものでもある。

リンゴジュースを絶やさなかったら、真乃もきっと、自殺をしちゃいけないという仲代先生の言葉を守る。

そんな、魔法が掛かっている気がした。

「ちょっとすんませーん!」

どうしても、果汁三十パーセントに対して百パーセントのほうが安いという事実に、妙なタネや危ない処置が施されているような、疑心暗鬼に囚われてしまった。