そんな夢のようなもの―――と思うけど、でも今は、それくらいがちょうどいいのかもしれない。

気が張り詰め過ぎたら、僕らだっていったいどんな風にまいってしまうか、解からない。人間、強そうで弱いっていうのは、デンさんの言葉だ。

いいことや、前向きなことばかりじゃない。

最近、姉貴が前よりもますます暗くなった。

多重人格になってしまうくらい背負い込んでいた自分、僕らに迷惑を掛ける自分、誰かと一緒に行動してもらわなきゃいけない自分、なにもかもが、彼女を痛めつけているのだと仲代先生は言っていた。

……かといって、僕らに彼女を心配する以外なにも出来ないし、その心配が彼女をさらに思い悩ませるなんて、皮肉な話だ。

いい加減、抜け出したいと思うし、やめてほしいと願う。

(いつンなったら、姉貴はあの顔やめるんだよ)

霧で覆われているような、どこまで暗然とした、穏やかな……いや、穏やか過ぎて恐ろしい、目を背けたくなるようなの顔を、いつになったら。