車椅子に、彼女。いつもの見慣れた、背もたれ越しの三つ編みがそこにある。

僕は数秒、小川のせせらぎと、今ここに、ただあるだけの時間に、少しだけ浸った。

真乃には悪いけど、僕は彼女を、姉貴の中に突然現れた病原菌だと思っていた。

それは今朝、彼女が自殺志願者の気があるとわかった時点で、なおさら強まった。

だけど、もしかしたら――なんて言ったらいいのか――僕は本当に家事以外は無能だから――わからないけど、なんとかなるんじゃないかと、今は思っている間に、

いくらカエル顔の神様だって、そんなに意地悪じゃないはずだ。

ふと気が付けば、

「あー、真乃、もうこんな時間だよ、早ぇな」

周囲にはちろほらと、黄色い帽子にランドセルの、寄り道小学生の姿が窺えた。

少額一年生が下校しているってことは、もう昼過ぎだ。