オレンジ色にして

僕は、無力だ。

自分じゃ、今の姉貴達のために特別ななにかをすることもできない、無力な、

「――ぅやってばっ!」

「ン? おわっ!?」

呼ばれたような気がして振り向けば、真乃が思いきり振り被った石を、僕に投げつけていた。

危ういところで、これをかわす。

「なっ、なにすんだよ!? 危ねえだろ!」

「なーにがよ、さっきから何度も呼んだじゃないの、冬弥って」

ぷんすかと腹を立てる真乃は、手をパンパンと叩いて砂を払うと、また腕組みをした。

どうやら彼女の癖らしい。姉貴とは違う、彼女自身の、くせ。

姉貴はいつも、ては膝の上か肘掛けに乗せているから、腕を組むことひとつ取っても、真乃は全然違う性格をしているのがわかる。

弟じゃなくても、きっとわかるだろうけど。

気の強い彼女が言う。

「謝ろうかと思ったのにボーッとしてるんだから、こっちの気が殺がれるわね、もうっ」

「謝る?」

「病院飛び出したことよ」

ああ、と僕はなんとはなしに漏らす言葉で応じた。