オレンジ色にして


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「別に、アナタに消え炉なんて言ってないんですよ、真乃さん」

「じゃあ……どういうことよ」

「はい。ただ、現実を理解してもらうだけでいいんですけど、ダメですかね? あとそれから、自殺なんかしちゃダメよ? 困っちゃう人が、独り身じゃないアナタの周りにはたくさんいるんですから」

「俺からも、頼むよ。ほんとに……」

「……」



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もうひとつよかったことは、そう真乃はガンじゃないのだから、死に急がなくていいというのをわかってくれたこと。

まあそれも、正確にはあのあと僕が必死に掛け合ったのだけど。

小さいけど大きい、これは『成果』だ。それくらいだ。

もっとも、根本的な解決にはなっていないのだけど。

でも、かといって、僕だったらこうしたのにとか、どうすればよかったということはまったく自信がないし、仲代先生のやり方が間違いだったのかと訊かれても、どう答えていいかわからない。