オレンジ色にして

正直僕には、仲代先生が真乃と話したことが正解だったのか、そして結果招かれた現状が成功と言えるかどうか、わからない。

よかったことといえば、真乃が姉貴のことを、とりあえずは理解したということ。

ただ、一緒に暮らしている家族のひとりとして、弟として、僕の今の気持ちを尊重するなら――




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「秋乃さんだって不安なのよ。アナタがこうして私と喋っている間は自分の記憶が飛んでいるし、アナタと直接話したこともないから、どんな人なのかもわからない」

「わ、私だって秋乃なんて知らないわよ」

「ええ、アナタは秋乃さんを知らない。秋乃さんだってアナタを知らない。――でも冬弥くんは、アナタも、秋乃さんも知ってるのよ」



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――できるならもう少し、ゆっくりやってほしかった。

姉貴が陶芸をする時のように、じっくり時間をかけていれば、結果はもっと穏便だったんじゃないか。

そんな気がする。