オレンジ色にして

質問に、仲代先生が黙り、僕はまた息を詰めた。

ただ、僕はまた核心へ一気に迫ったことで息が詰まったのに対し、仲代先生は黙らせられたというよりも、なにかを溜め込むために、黙ったようだった。

ふー……と、仲代先生は、溜め込んだなにかごと、息を抜いたように見えた。

真乃とは違って、強気というよりも優雅な感じに腕を組む。

「私はアナタの担当をしている、精神科医です」

「セーシンカイ、ねぇ。さっき横にいるこの人から精神科行くって聞いてたけど……どうしてそれをわざわざ、今まで隠してたのよ?」

この人、と指差された僕は、思わず苦笑した。

まさか姉貴の顔に、この人呼ばわりされるだなんて夢にも思わなかった。

「別に隠していたわけじゃありませんよ」

と、少し険のある雰囲気を醸し出した真乃に、仲代先生が肩をすくめた。

「ただ、まだ言う必要がないかと思っただけで」