オレンジ色にして

(ほ、本当に催眠で……、真乃が!?)

呆気に取られている僕とは違い、仲代先生は落ち着いたもので、ことりと静かにキャンドルを置くと、その火を消した。

「こんにちは、はじめまして、真乃さん」

と、彼女は静かに、立ち上がった姉貴――いや、真乃を見上げながら、手を差し出した。

「どうぞ、お座りください。大丈夫、危害なんて加えませんから」

「……」

僕と、仲代先生とを、まるで外国人でも見つけた老人のようなすがめた眼差しで、数秒見据えていた真乃は、

「なにがどうなってるのか、キチンと説明してちょうだい」

少し豊前とした口調で、どすんと腰を下ろした。

立ってから一歩も動いていないから、自然と姉貴の車椅子の上に座ることになった彼女は、

「ぅ、わっ!? ちょっ、なんで車椅子がこんなとこにあるのよっ」

車輪が動いて少し後退したことに、神経過敏な猫みたいな反応をした。