オレンジ色にして

「怖くありません、じっと、この火を、見てください」

「……」

「――ゆっくり、アナタは、眠くなって、真乃さんと、入れ代わります。入れ代わります、入れ代わります――」

「…………」

はたから見ていると、いったいなにをしているんだろうと思いたくなるような、緩やかなやり取りの最中、

(姉貴……?)

いつのまにか、車椅子の上の姉貴は首をうなだれて、目をつむってしまっていた。

仲代先生は、それを待っていたかのように、そっと、キャンドルを引く。

そして――パッと、姉貴の頭が、今度は跳ねあがった。

と同時にその体も、居眠りをしていた生徒が先生にたたき起こされたみたいに飛び上がり、

、、、
立った。

ぐるりと、僕、仲代先生、診察室を見渡した彼女が、口を開く。

腕組をしながら、

「いったいどこよ、ここ」

とても姉貴とは思えない強気で鋭い、でも姉貴の声で。