オレンジ色にして

強気な笑みを見せながら淡々とした口調で説明した仲代先生に押されたのか、そして姉貴はゆっくり、うなずく。

「わかり、ました。それじゃあ、お願いします……」

「はい」

僕が見守る前で、仲代先生はデスクの引き出しから、なんだかごつい、彼女には似合わない、銀色のジッポライターを取り出した。

「それから秋乃さん、もし私が判断して、『大丈夫だ』って思ったら、ことの次第を真乃さんに説明してもいいですかね?」

「え」

――姉貴の目が少し、点になった――

「いつまでも事実を隠していると、別人格が突然の現実に対して拒絶反応を示すというか、少々厄介なのよね。いいですかね?」

「あ、は、はい……」

「ありがとう。では――」

そして、キャンドルに火をつけた仲代先生は、それを姉貴の前に出して、

「秋乃さん、じっとこの火を見てください」

ゆらゆらと、ランタンでも持つみたいに、揺らす。