カエル面の神様に向けてかもしれないし、

うわさの広田医師に向けてかもしれないし、

ひょっとしたら結局、姉貴に向けてかもしれないしけど、

誰をか、小馬鹿にしてやった。

「まあ、とにもかくにもですね」

なぜ仲代先生のところに行くのか、自分がどうなってしまっているのかをなかなか言わない姉貴を見かねたのか、

それとも、沈黙が耐えられない人なのか、広田医師は心機一転するような、軽い声音を出した。

「僕が仲代医師のところまでお連れしましょう。外科のほうには、そのあと顔をお出しください」

すると、姉貴の顔色がまた文字通り一変した。

横顔だけでもわかるほど、赤から白――いやむしろ、青くなった。