オレンジ色にして

そんな風に短い間で考えて、でも一番強く思ったのは、

(どうせそれでまた、むなしくなるのは僕なんだ。なら、黙ってるのがいい)

ただ、消極的なものだった。

「仲代先生に、ちょっと、ご用があって」

と、姉貴がやっとのことで答えるまでに、角をひとつ、曲がっていた。

沈黙はなぜか知らないけど、一分が十分にも感じるから不思議だ。

「仲代――ああ、多美か。仲代多美……ということは秋乃さん、なにかあったんですか?」

「え、な、なにか、って、なにがですか?」

ずっとうつむき加減、椅子の上でいつにもまして小さく身を固めているようだった姉貴の顔が跳ね上がったかと思えば、

その面はイチゴかトマトか、顔から火が出るって言うのを実演しているように、真っ赤になってしまっていた。

とはいってもそれは、あくまでも普段から一緒に生活している、僕だからわかるのだけど。