オレンジ色にして

広田医師は朗らかさが一瞬も欠けることもなく、

「もうそろそろ次の検診ですから、もしかしたら来るのではないかと思って待っていたんですが……今日は、車椅子どうしたんです? 本当に」

「え、えっと、あの、私――」

「ああ、どうも気付きませんで、すみません。車椅子を取ってくるので、少々待っていてください?」

なにか言いかけた様子の姉貴に、広田医師はすばやい機転を利かせた。

くるりときびすを返して、白衣を翻して、彼は行ってしまった。

角を曲がって、その背中が見えなくなってから、姉貴の横に座る。

「――真乃が出てきてさ」

「っ」

何気なく、でも突拍子もなく告げた言葉に姉貴が一瞬、息を詰まらせたのが聞こえた。

本人も、今の状況から予想していたんだろうけど……

こうして教えられると、ショックなのかもしれない。

でも、気にせず続けた。