オレンジ色にして

姉貴が、あ、と小さく漏らしたのが聞こえた。

どうやら知り合いらしいということだけ、その声の感じからわかった。

白衣の裾をはためかせながら一直線、僕らの前まで走ってきた彼は、シャープな顔立ちで微笑の似合う、女の人ならもしかしたらクラッと来てしまうかもしれない、

男の僕からはなんとなく、ちっ、と舌打ちしてしまいたくなるような、二枚目だった。

姉貴はどうしてか小さくなって、うつむいて、聞き取るのも一苦労な声量で言った。

「お、おはようございます。広田先生」

広田……なるほど。

この人がお噂の先生ってわけか。