オレンジ色にして

彼女の挙動に敏感になってしまっていた僕は、そんなことありはしないのに、彼女が化け物に見え、思わず硬直してしまった。

「病院、ねぇ」

と、彼女が噛み締めるように……いや、逆になにかを吐き出すみたいに、言う。

「そう……そういうこと……」

「な、なにが……そういうことなんだよ……?」

「ううん、別に、アナタには関係ないわ。ただ、私はもうダメなのねって話」

「だ、ダメ?」

「そ。もうダメ」

淡々としている彼女は、固まる僕の横を抜けると、キッチンを物色し始めた。

そうしてお目当てのものを見つけたらしい彼女は、しおらしい言葉と共に、『それ』を自分の首に突きつける。