オレンジ色にして

「……?」

真乃は卵をもごもごと咀嚼しながら、わけがわからない顔のまま、とりあえずと手を振って応えていた。

姉妹のやり取りが、まさかこんな風にぎこちなくなる様を見ることになるなんて、

弟として、もしくは兄として、全然想像してなかった。

思わずこっちまで、苦笑がぎこちなくなる。

それからしばらく……

「味噌汁のダシは最初、昆布と煮干しをいれてあるんだ。ウチの直伝なんだぞ」

とか、

「卵の焼き加減、目玉焼きともうひとつ、卵焼きのほうも教えといてくれよ。中までしっかりか、とろっと焼くのか」

とか、そんな……どうでもいいようなことばかりを話して、どうにかこうにか、今から家を出ればちょうど病院が開く頃合いになった。