オレンジ色にして

けれど、

「そんなんじゃないの」

と、

「そんなんじゃ、ないの」

姉貴は、子供がイヤイヤをするように首を横に振って、僕の言葉を否定した。

その言いぐさがあんまり深刻そうだったものだから、僕は、一瞬なんて答えればいいのかわからなくなった。

じゃあどういうことなんだよ、と彼女を責めるわけにはいかないし、精神科でも行け、と冗談まがいに言うのも悪い。

結局僕は、自分の立場を考えた発言を選ぶしかなかった。

「まあ、俺ができるだけそばにいるからさ、あんま悩むなよ。なんかおかしかったら教えてやるから」

「うん……」