オレンジ色にして

――僕は、無力だ。

だからほんと言うと、母さんに家事を教えてもらった時だって、嫌々じゃない。

なんにもできなかった僕が、せめて人の役に立てるようにと思って、自分から手伝いを始めたんだ。

だから、僕が家事をできるのは、母さんが押し付けたんじゃなくて、僕自身がきっかけだった。

姉貴や夏輝の役に、僕は立っているだろうか。

彼女達の役に立ってあげたい。

僕は、自分が無力でなくなるために、家事を始めたようなもんだ。

だけど今――姉貴が多重人格障害になってしまった今――僕はまたなんにも出来ない。

なんにも。