その隙を狙ってあたしは里中君の腕の中から逃れる。


ふぅ、やっと楽になった。


えっと、次はスタンドとフラスコだよね。


あたしはメモを見ながら、次の作業に取りかかる。


ふと、視線を感じて振り向くと、里中君があたしのことをじっと見ていた。


思わずあたしも見つめ返す。


しばらく何も言わないでいると、里中君はようやく口を開いた。


「考えてくれた?」


「? 何をですか?」


「恋人のフリ」


「お断りします」


何回言えばいいんだろう。


それより、なんであたしなのかな?


「他の子にすればいいじゃないですか。どうしてあたしなんですか?」