「どうしたの?」


「いや、毎日よくやるなーって思うのよ」


沙織が見ていたのは里中君達をとりまく女子達だ。


「あれはあいさつみたいなものだよ、きっと」


雑誌に目を向けながら答える。


「本当に興味ないのね。二人のこと」


「あたしが興味あるのは晴樹くんだけだもーん」


晴樹くんは今人気のイケメン声優。


あたし達と同じ16歳の高校二年生。


声だけじゃなくて、顔も性格もイケメンなの!


今一番雑誌で取りあげられてたりする。


「晴樹くん、この学校に転校してこないかなぁ」


「ないない」


沙織は手を横に振って否定した。


そのときだった。


歓声が近づいて来たのは。