「…。」

「瑞樹?」

「…。」


2人で見つめ合い、テレパシーかなんかで
会話をしたのか、困った顔をこちらに向けた輝。

分かってるって。
言ってみただけだから。


「いいよ、俺だけ先行ってるから。
瑞樹と輝は歩いてくればいいよ。」

「「分かった。」」


輝の中での優先順位は
俺より瑞樹の方が上であることぐらい
わきまえている。

それに輝は瑞樹の無言の圧力に弱い。

部活サボってんだから
早く帰った方がいいに決まってんのに。

普通なら若干寂しい気もするんだろうけど
ほら、俺、腐男子じゃん?

カップルのためなら
潔く身を引きますよ。

こっそり写真も撮ったし
おかずにさせてもらいます。
ごちそうさま。

「聡、なんで手合わせてんだ?」

「ん?別に?
んじゃ先行ってるから早く来いよ。」


窓から運動場を見てみれば
サッカー部がグランドを走っている。

輝が先頭じゃないからか
いつもに比べてスピードが遅い。

輝がサボって一番助かってんのは
チームメイトかもな。
アイツの練習ハードだし。