ここは茜さんの部屋で、
俺は昨日寝ちゃって、
茜さんが拾ってくれた…ってことか??


「君名前は?」
「花宵 聡…です。」
「そう、聡、体の具合はどう?」
「え、と…普通です。」
「そう。じゃあ、熱も下がったみたいね。」
「…。」
「…。」
「…あ、あの!俺、もう帰ります。
本当にありがとうございました。」



そう言って、ベッドの上で頭を下げる。


「…大丈夫なの?聡。」
「え…?」

まさかの返答に頭を上げると
真剣な顔をした茜さんがいた。


「あんなに体中に傷を作って、
瞼も腫らして…。
詳しくは話さなくてもいいわ。
それでも…しばらくはここにいてもいいわよ?」


…家に帰ればまた、いつもの生活に戻る。

ただそれだけ。



それだけ、なんだけど。



「―――――……嫌だ。
嫌だよ!俺、もうあんな生活戻りたくないよ!…もう、…嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!」


昨日あれだけ泣いたのに
涙が止まらない。

女の人の前で泣くなんてみっともない。

分かってる。

それでも涙が止まらない。


ベッドの上で

正座で

俯いて

泣く俺。


床で

コーヒーを飲みながら

見守る茜さん。