「…っ、はぁ…。」

泣いてばかりもいられない。
というよりも、泣き疲れた。


ちょっとはスッキリしただろうか。
顔を袖で拭う。


「い゛っ…た、」

立ち上がるだけで
体中が痛む。

歩くのもやっとだ。


何とか正門までたどり着く。


――――ガッガッ

マジかよ…
正門閉まってんじゃん。


高さがあるわけではないから
乗り越えようと思えば
男子なら簡単だろう。


でも今は歩くのがやっとの状態だ。


「ん゛ーっ、…うわ゛ぁっ!!」


何とか勢いで上に登れば
勢いそのまま、落っこちた。


「げほっ、げほっ!!…げほっ!!
…っは、…はぁ…。」


門が低くて助かった。
高い門だったら骨折れてたかも。


それでも大ダメージの俺。


…家、遠いな…。


学校から家まで帰るには
バスが1番早くて便利だけど
流石にこれだけボロボロになると
乗るのには気が引ける。

だからいつも怪我がひどい時は
歩いて帰る。
本当は怪我がひどい時こそ
バスに乗って帰りたいけど
周りの視線が気になる。

その点歩きだと他の奴らは
自分は関係ないと言いたげに
俺の事を知らんぷりするから助かる。

世の中なんてそんなもん。