鞄もボロボロになっていて
中を見れば、悲惨だった。

なくなっている物もあれば
カッターか何かで刻まれたノート。
砂も入れられている。

財布は持っていたら
取られるのがオチだから
最初から持ってきていない。


中に残っていたものを全部出して
鞄を逆さまにし、中の砂を出す。


「…うっ、…うぅ…。」

泣くな。


その思いとは裏腹に
涙が止まらない。

泣いたところで、何もない。
ただ傷に滲みるだけなのに。


でも、限界だったんだ。




親は仕事ばかりで
顔を合わせるなんてことは滅多にない。
気づくとテーブルに置かれている金。

もう、存在していないも同然。


学校なんてただの生き地獄だ。
何でそれでも行くのかと言われれば
あんな奴らのせいで、
俺の人生をダメにするなんて
絶対に嫌だったんだ。



いい高校に行くのが全てではない。
いい大学に行くのが全てではない。
いい会社に就職するのが全てではない。


それでも、



より優秀であることで自分の存在価値が
生み出せるのではないか。


そう思ってたんだ。