すると、令嬢は痛みをこらえるかのように膝の上に置いたタオルをギュッと握りしめる。
細く綺麗な指先が、手のひらに食い込もうかというほどの強さで。
一目でわかるその強い力の込め方に、ハッとした。
……訊いてはいけないことだったのかもしれない。
「あー、……悪い。別に無理に話さなくてもいいから」
俺は、勢いのままに質問をしてしまったことを後悔してそう言った。
しかし令嬢は再び大きく首を横に振る。
「いいの。大丈夫よ。あなたには守ってもらっているんだもの、いつまでも全てを隠しておくわけにはいかないでしょう?……さっき攻撃してきたのは、私の護衛よ」
かたい声で言った彼女の言葉に、俺は自分の目が大きく見開かれたのが分かった。
護衛……?
え。いや、護衛って。
当たり前のことだけど、傷つけるんじゃなくて、守るためにいるんだよな?
「私は、信頼できる者だけを連れてきたつもりだったの。それなのにあんなことになって……。
フレイがいなかったら私、帰ったところで信じられる人なんて誰もいないわ」


