~桜~                     24回目の巧からの着信音。
『はい…』
『桜』
電話口での巧の声。
『今から出れる』
何で…。
諦めようとしてるじゃん…
でも『わかった』って受け入れてる自分にもむかつく。
私…本当に巧だけなんだなってつくづく思い知らされる。
巧は私の家から少し歩いた場所にある、公園のブランコに座っていた。
「桜…」
「きゃっ…」
巧は私をみつけると強くぎゅっと抱き締める。
「いっ…たいよ巧…」
「ごめっ…桜…俺…飛鳥とキスしたっ」
私を強く抱き締めたまま巧はいう。
「うん」
「飛鳥にも告白されたっ」
「うん…」
一生懸命伝えようとしてくれてる。
大丈夫。
「飛鳥と付き合う」
って言われても…
ちゃんと話してくれたから。
「飛鳥にちゃんとごめんって言ってきたっ」
「うん…」
「だからっ俺はばいばいなんてしたくなくて…もう一回好きになってもらえるように頑張るからっ…」
…ん
「ちょっと待ってっ」
振られたのって私じゃないの
「飛鳥ちゃんと付き合いたいんじゃないの……私のことあきたから好きって言ってくれなかったんでしょ」
「違っ…好きって言わなかったのは飽きたからとかそんなんじゃなくて…」
え…
「伝わってると思ってたんだよ」
じゃ…じゃあ…
「別れなくてもいいの」
私がそう言うと巧が「別れたくない」といった。
「うっ…うあぁ~ん」
別れなくちゃいけないと思った。
「うあぁ~」
子供のように泣きじゃくる私を巧が優しくなだめてくれる。
それが堪らなく嬉しかった。
            「そろそろ帰ろうか」

            だいぶ落ち着いてきたころ巧がすくっと立ち上がる。
私は「うん」とうなずき、巧の手を握った。
真っ赤になる巧。
「ふふっかわいい」
うつむく巧。
やり過ぎたかな
「巧…ごめんねかわいいって言わないからゆるして(>_<)」
「桜…」
「ん」
                        「大好き」

                        それはずっと聞きたくて聞きたくて仕方がなかった言葉。
…それは甘い甘い君がくれる愛の証。
ありがとう。
私もずっと巧のこと大好きだよIloveyou