「ーーーーあ、私の名前だ。」


自分の名前を見つけた時、ふわりと甘い匂いがりなの鼻をくすぐった。
反射的に振り返ると同級生であろう男の子がいて、目があってしまい慌てて目線を下にさげる。
男の子もきっとクラス編成の紙をみているのだろうと判断したりなは、目があってしまった気まずさから逃げるように、そそくさとその場から立ち去った。



(凄く、甘い匂いだった……。)


なんの洗剤を使っているんだろうなんてことを考えながらりなは体育館の階段を登る。
先に扉の前で待っていた母の元へとりなは駆け寄って、自分の席へ向かった。


顔は覚えていないのに、やけに甘い匂いがりなの頭にまだ残っていた。