ぐるっとまわっていると、井戸のところで顔を洗っている男がいた。



近づいてみると薫の気配に気づいたのかこちらに振り返った。



薫「おはようございます」



一応、挨拶をした。



?「…ああ。」



口数が少なそうな人だった。



薫「斎藤……一さんですよね?」



その男の眉が一瞬“ピクッ”とした。



斎「……なぜ分かった」



薫「昨日、初めて皆さんを見た時に斎藤さんだけ右側に刀を置いて座って居たので、そうかと思い」



斎「……そうか。……坂口は顔を洗いに来たのか?」



何か話がごろっと変わったような……



薫『まぁ、顔でも洗うか』