「君が待ってると思うと、仕事も頑張れるな」



うわ……そんなふうに言われると素直に嬉しい。

なんか、もう旦那様みたい。


柔らかな笑みを残して部屋を出ていく彼の姿を、赤くなっているだろう頬に手を当てたまま見ていた。





朝食を済ませると、蘭さんは蓮さんと一緒に職場である銀行へ向かっていった。

会長さんと奥様も仲睦まじく旅行へ行ってしまい、家に残されたのは私と執事さんだけ。


「ゆっくりしていてください」と言われたものの、蘭さん達が帰ってくるまでかなり時間があるし……どうしよう。



「とりあえずこの広ーい家を探索するか……」



そう思い立った私は、執事さんにその了承を得ると。

とても穏和で優しい彼が、手が空いた時間に家の中を案内してくれることになった。