蓮さんはぶすっとした表情で「俺はこんな蘭見たくない……」とぶつぶつ言っている。

そんな彼に、私の身体を離した蘭さんはこう忠告した。



「蓮ももうカンナに変なこと言わないでくれよ。泣かしたら許さないから」

「はいはい、悪かったよ。まさか蘭がこんなに本気になるとはね……」



チラリと私に向けられた蓮さんの瞳は、呆れたようなもののどこか優しくて。

すごく勝手だけど、彼が“よかったな”と言ってくれているのだと思うことにした。




肝心のハンバーグは、蘭さんは「美味しい」と何度も言いながら喜んで食べてくれて、蓮さんは小言を言いつつも完食してくれた。


小さな満足感を得た食事の後、私は足早にお風呂に向かう。

いつもなら夕飯の前に済ませておくのだけれど、今日は料理をしていてまだ入っていないのだ。