「お帰りなさい、蘭さん!……と、蓮さん」

「ただいま」

「おい、俺様を取って付けたように言うな」



口が悪い蓮さんにもだいぶ慣れてきた私は笑ってごまかす。

そんな様子を微笑ましそうに見る蘭さんは、私の頭にぽんっと手を置いた。



「今日の夕飯のハンバーグ、私もお手伝いして作ったんですよ」

「本当に?僕の好物だ」

「はい!蘭さんに喜んでもらいたくて。形はちょっといびつですけど……ひゃ!」

「ありがと、カンナ」



言い終わらないうちに、腕を引かれて蘭さんに抱きすくめられる。

そして、「ご褒美は何がいい?」と耳元で囁かれた。


ひゃ~~蓮さんも執事さんもいるのに……!



「ら、蘭さんっ!」

「あー……暑苦しい」



顔を熱くさせる私に対し、蓮さんはさも嫌そうに冷めた声で吐き捨てた。