「だから困るって言ってるのに……」

「え?」

「いや、カンナがいいならお邪魔するよ」



部屋の電気を消した蘭さんは、布団をめくって私の隣に潜り込んだ。

横になって向かい合うと、自分の腕を枕にした彼はもう片方の手で私の手をそっと握る。



「カンナ」

「はい……?」

「僕は本当に君を離す気はないよ。もちろん、大切な一人の女性としてね。
……僕を信じて?」



前髪の隙間から覗く瞳は、私を捉えて離さない。

嬉しさでまた緩みそうになる涙腺をなんとか引き締め、笑顔で頷き「はい」と返事をした。


安心したように微笑む蘭さんは、私の頭を撫でると背中に手を回して布団の中でぎゅうと抱きしめる。

その幸せな温もりに包まれたまま眠りに落ちる寸前、甘い言葉が囁かれた気がした。

“愛してる”って、一言。


──あぁ、私が一番欲しかったのは、この確証だったんだ……