ほんの数秒で温もりが離れていくと、蘭さんは熱っぽい瞳で私を見つめる。



「我を忘れそうになるから困るんだ……君に夢中になり過ぎて」



──彼の口から、そんな言葉を聞けるなんて。

胸がキュンとして、ドキドキして苦しい。


再び重ねられた唇は、もっと熱く、もっと深く、お互いを求めるように絡み合う。

キスって、味がしなくてもこんなに甘いものなんだと、今初めて知った。



強張る身体から次第に力が抜けていき、私を支える蘭さんに身を委ねていると、ふいにキスの嵐が止んだ。

ぼうっとする私に、蘭さんは苦笑を浮かべて一言。



「……押し倒したくなる」



──ドキン!と激しく心臓が飛び跳ねた。


押し倒す……ってことは、その後はそうなっちゃうってこと、ですよね?

キスですら今初めて体験したというのに、もうその先に進んじゃうの……!?