キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編

私を支えたまま、蘭さんは今まで見せたことのない険しい表情で、涼しい顔をして笑う三嶋さんに向き直る。



「僕のことは他人にどう悪く言おうが構いませんよ。でも故意に彼女を悲しませるようなことをするのだけは許せない」



蘭さんの腕にしがみついたまま顔を上げると、彼はまっすぐ三嶋さんを見据えて言った。



「カンナは僕の大切な人ですから」



──蘭さん……


いつの間に注目を浴びていたのか、辺りがしんと静まり返る中、自分の心臓の音だけがやけに大きく響いていた。


初めて“カンナ”と呼んでくれたことも、こうやって私を介抱してくれることも、そして今の言葉も。

どうしても嬉しくて、胸をときめかせてしまう私は、やっぱり単純で都合のいい女なのかな──。