キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編

「カンナちゃん?」

「ごめんなさい、私ちょっと……」



三嶋さんにそう言い、水をもらいに行こうとした瞬間、足元がふらつく。



「きゃ……っ!」

「カンナ!」



短い悲鳴を上げて転びそうになった私を、誰かが咄嗟に抱き留めてくれた。

その瞬間、鼻先をかすめるのは私の好きなフローラルの香り。


驚いて顔を上げると、私を包むのは焦ったような表情の蘭さんだった。



「大丈夫か?」

「あ……ちょっと酔っちゃったみたいで……」



急に心臓がドキドキしだすのを感じ、彼の顔を見ただけで堪えていた涙腺はすぐに緩む。

今にも泣きそうな私を見て、蘭さんはその整った眉根を寄せ三嶋さんを見やる。



「……カンナに何を吹き込んだんですか」

「人聞き悪いこと言わないでくれよ。俺は真実を言ったまでだ」