キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編

「でも、これだけ言われても逃げないお前は、バカだけど意気地無しじゃなさそうだな」

「え?」

「すぐに逃げ出すような奴が兄の婚約者だと俺が恥ずかしいんだよ。そんなにあいつに惚れてんなら頑張ってみれば?諦める必要もねぇし」



それってもしかして……蓮さんなりに私を励まそうとしてくれてる?

バカってのは余計だけど……。

でも、彼の不器用な優しさに少しだけ気分が上向きになった気がした。



「何ニヤついてんだ、気持ち悪い」

「い、いえ、なんでも……」

「さっさとあいつんとこ戻れば?せいぜい仲良しごっこでもやってくれ」



そう吐き捨てると、蓮さんは踵を返して広間へ戻っていく。

やっぱり意地悪……
でも涙が止まったから、そのことには感謝しよう。


後ろ姿すらも美しい彼を恨めしげに眺めつつ、私も広間へと歩き出した。