キケンな花嫁修行~結婚相手が二人!?~四ノ宮蘭編

ポロリ、一粒の温かい雫がこぼれ落ちると、それはもう止めることは出来なくなった。

トイレに篭り、声を押し殺して泣く。

私、いつの間にこんなに好きになってたんだろう……。


もう広間に戻りたくないな。

でもまだパーティーの最中だし……となんとか自分に言い聞かせ、無理やり涙を押し止めて頬を拭った。



トイレを出て俯きながら広間に向かって歩いていると、突然誰かに腕を掴まれた。



「おい」

「蓮さん……!」



びっくりして振り仰いだ先には、眉根を寄せて私を見下ろす蓮さんがいた。



「どこほっつき歩いてんだ。蘭が探してたぞ」

「……そう、ですか」



そうだよね。婚約者がいないんじゃ、今日のパーティーの意味がないもんね……。


すると私をじっと見る蓮さんに気付き、思わず顔を背ける。