「……大丈夫です」



私は膝の上に置いた手をギュッと握り、顔を上げて微笑んだ。

蘭さんがどう考えているにしろ、いずれ結婚することに変わりはないんだから、挨拶はちゃんとしておかなきゃ。



「行きます、パーティー」

「……ありがとう。皆君の顔を見たがってたから喜ぶよ」



安心したような表情で上着を脱ぎ始めた蘭さんだけれど、すぐに苦笑を浮かべる。



「でもきっと男ばっかりだからな……。君は可愛いし、狙う奴が出てきそうで心配だから、僕のそばから離れないで?」

「……はい」



私なんかを狙う人なんていないだろうけど、こうやって心配してくれるのは嬉しい。

でも、これもただの建前なのかな……。


疑心がぐるぐると渦巻き、ただでさえ出逢って日の浅い私には、彼の本心などわかるはずもなかった。