《あお》
目の前にいる朝陽さんを初めて怖いと思った。
床に押し倒されて、手の自由が効かない。
「朝陽さん朝陽さんって…まじなんなのお前…」
「なんなのって…」
そんなの、わかんない…。
ただあたしは朝陽さんが好きだから、好きだから心配なだけで…。
それじゃあ理由になりませんか…?
あたしの上に馬乗りになってる朝陽さんを下から見るのは怖くて、体が震えた。
「お前…クラスの男と同じ状況になっても俺と同じことすんの?」
「えっ…」
「答えろ」
「……わからない、です…」
真顔の朝陽さんが余計怖い。
怒った顔でもなくて、悲しそうでもなくて、ただの真顔。


