「ちょっと待ってろ」 あたしの頭にポンと手を置いて、そのままどこかへ行ってしまった。 ……っ。 泣いてる女子を1人にすんな…バカ…。 さっきから心理学部棟に入ってくる人たちにすごく見られてる。 視線がビシビシ伝わってくる。 柱の隅っこの方に移動して、その場にしゃがんだ。 祐希奈とアヤはどこにいっちゃったの…? 朝陽さんもどこいっちゃったの? 「同じので悪いけど」 頭上から降ってきたのは朝陽さんの声で、 朝陽さんの手には、こないだと同じ紅茶の缶が握られていた。