「あの…電気…」
バタンと扉を閉めると、窓もないから本当に真っ暗で。
目が開いてるのに何も見えない。
なんか気持ち悪い…。
正直、怖いんですけど…。
でも隣には朝陽さんがいるし…何も不安要素なんてないはずなのに。
「ここ電気切れてる。めったに誰も来ねぇから」
「少しだけ…怖い、んですけど…」
「…誘拐に怖いは付き物でしょ」
床がどうなってるのかもわからないし、ただ手を引っ張られて進むだけ。
手を握られてドキドキしてる場合じゃなくて、普通に怖い…。
そんなとき、外からさっきのおばさんの声が聞こえてきた。
「もー朝陽くんどこ行ったのかしら。休憩終わりなのに〜」
チッと上から聞こえた舌打ちは朝陽さんからで、
『もう時間か』と呟いていた。


