【翼Side】
「屋台、なにがあるかなー?かき氷とか食べたいなあ」
なんて言いながら、俺の隣を歩く市原さん。
淡いピンクの浴衣は、色白な肌に映えていて、すごくきれい。
普段は下ろしている髪は、お団子にして上げている。
もともと可愛いのに、うすく化粧までしてて……。
そりゃあ、ナンパされるわけだ。
……つーか、まさか両思いだとは思わなかった。
隣を歩く市原さんが“彼女”だと信じられない自分がいる。
「日向くん?」
「……っ、なに?」
「もう、聞いてなかったの?」
ちょっと拗ねたように膨れる市原さんに「ごめん」と謝る。