市原さんは、すでにカバンを手に持ち、ドアのところにいた。 「おー!じゃあなー!」 「気をつけて帰るのよー」 「転けるなよー」 野々宮、水沢さん、鳴海、と思い思いに声をかける。 市原さんは、ムッと顔をしかめてから、鳴海を見た。 「転けないから!……しおりん、まいまい、またね!」 最後には、とびきり可愛い笑顔を残して教室を去っていった。 そのままドアを見つめていると、ふいに、視線を感じた。 「……なんだよ」 鳴海と水沢さんはバタバタと帰り支度中。 野々宮はのんきにスマホをいじっている。