女にしては体格のいい野々宮をいとも簡単に……大輝、恐るべし。
「な、なんだったんだろう……」
市原さんの小さなつぶやきが、ふたりきりの教室に響いた。
あー……くそ、大輝に借りつくっちまったな。
ほんとは市原さんと帰れることが嬉しいくせに、心の中ではそんなことを考えていた。
「……俺らも帰ろっか」
「そうだね!」
廊下で何人かの生徒や先生とすれ違い、げた箱までやってきた。
スニーカーを履きながら外を見てみれば、人影はほとんどない。
大輝や野々宮はチャリだからもう帰ったんだろう。
「6月でも夕方はちょっと冷えるね……」



