もしかして……市原さんと帰れるかもしれない。 なんて淡い期待を抱きながら再度尋ねてみる。 「……家はどの辺?」 「えっと、駅の近く!だから歩きなの」 やっば……緩んでしまった口元を隠すように手のひらで覆った。 そんな俺を見て「日向くん?」と首を傾げた市原さん。 「よかったらなんだけど……一緒に帰らない?」 「えっ……」 「俺、電車通だから駅までは歩きなんだよ」 戸惑った様子の市原さんに、つい早口でまくしたててしまった。 いつもの俺ならこんなに喋ったりなんかしない。