「鳴海っ!早くしないと遅れる!!」 「わかってるって!」 騒がしく帰り支度を終えたふたりは、あっという間に教室から出ていってしまった。 ……なんだったんだ今の。 「俺らも帰るかー」 「そうだな。あたしチャリだけど流川は?」 「俺もチャリ」 なんて会話をする大輝と野々宮を横目に、市原さんを見る。 ほんの少しでいいから……一緒に帰れたりしねぇかな。 「市原さんもチャリ?」 「い、いや……あたしは歩き」 それを聞いた途端、俺は思わず頬が緩んだ。 俺は電車通だけど、駅までは歩きだからな。