今、私はお父さんと一緒にある方のお宅へ向かっている。 私が持っている中で一番いい服である、サーモンピンクのドレスワンピに身を包んで。 運転するお父さんは、さっきからずっと申し訳なさそうに眉を下げている。 「本当に……悪いな、カンナ」 「いいの。お父さんの……家族のためだもん」 スカートの裾をギュッと握りしめて答えた。 そう、これはもう決めたことなんだ。 会社と家族のために、決められた相手と結婚するって──。