「…早く逃げろ」 そう言ってまた歩き出す恢に目を丸くする。 「恢ッ!待ちなさいよッ!!!一緒に行くって言ったじゃないっ!!!」 もう止まる気がないのか、振り向きもせずに恢は扉へと向かって歩いて行った。 「恢ッ!カイーーーーーッ!!!」 「…綾香」 私を今だ強く抱きしめる蓮を睨みけた。 れ、蓮? 苦しげな顔で私を見つめている蓮と瞳が合う。