そう思った時には一気に、化け物の方へと飛びかかる母さんにまた涙がこぼれた。
お願いだから止めて---
傷口から今だに血が流れ出ている。
それを早く手当てしたいのに、そんな事を一切聞いてくれる感じではない母さんを見ている事が辛かった。
「ギャァァァァー…」
「グゥゥ…」
「イヤャャァァァァ…」
自分の喉元に喰らいついた白蛇の身体を思いっきり引っ張る化け物に、母さんは悲痛な声を上げながらなおも喰いついている。
ただ思いっきり引っ張り上げているから白蛇に噛みつかれている化け物の喉もとの傷口が広がっていき、出血の勢いが増した。
そして母さんの先程つけられた傷口も、やはりひっぱられているからどんどん広がっていく。
先程よりも流れ出る血の量が多くなった。



