【完】紅(クレナイ) ~鏡花水月~



後ろを振り向くと、母さんの脱いだであろうガウンを持つ父さんと目が合い、私に向かってゆっくりと微笑んだ。



なによ…、


口元は笑みを作っていても、瞳が凄く辛そうなの気がついてる?



無理してそんな顔をするくらいなら、母さんを止めてよね。


父さんを睨みつけると困ったような顔をされた。


しかしすぐに視線を私から母さんに向ける。


その表情は固く強張っていた。



心配そうに母さんを見上げている父さんに、自然と涙がポロポロと零れ落ちてきた。


出来ることならば自分が変わってやりたい…そう言っているようで、父さんの気持ちに感化されてしまい込上げてきたのだ。




「お前ら、行くぞッ!!!」



良牙が大きな声で私と蓮に言いながら、走った………その時だった。